2010年11月25日木曜日

全日本合唱コンクール 全国大会 感想

 先週末は全日本合唱コンクールの大学・職場・一般ABの全国大会が兵庫県で行われました。今年は大学部門で創大銀嶺合唱団と都留文合唱団の2団体 が私のMissa pro Paceの4楽章目のAgnus Deiを演奏する、ということ、都留文合唱団から指導もかねて全国大会へのお誘いがあり金・ 土・日・月と兵庫県に行ってきました。私は全部門ともに、ステージのど真ん中、2列目の席で、皆さんの生き生きとした表情を観ながら演奏を楽しませてもら いました。そして、発表後の打ち上げでは沢山の皆さんとお話しする機会もあり、とても充実した時間をすごすことができました。参加された合唱団の皆さん、 そして運営に携わった皆さん、本当にお疲れ様でした。メール等で感想を送ってくれた皆さんもありがとうございました。


 さて、ここから以下は私が全国大会の演奏全体を通して感じた事を、徒然と書きたいと思います。全国大会に出場する団体は全てレベルの高い団体です。それを踏まえたうえで、皆さんが今後さらによい音楽作りをしていくための参考になれば幸いです。


出だし (課題曲)
例 え「課題曲と自由曲の審査の割合が50・50だという前提」があったとしても、最初に演奏される曲の出だしは、観客(審査員)が受ける団の全体的な判断に 強く影響します。このコンクールでは課題曲が先に演奏されるため、特に出だしの練習はきっちりと、そしてどんな状態でも安定した演奏ができるように練習を するのが良いでしょう。


発音 (子音)
 歌う言語に関わらず「子音の発音」は特に しっかりと行わなければいけません。合唱(歌)の場合「通常の倍以上出して大体バランスがとれる」くらいに思っていなければいけません。物理的に言えば、 子音というのは、決まった音程を持たない特定の周波数群(ノイズとも言える)を基礎とする(有声子音はそこに声帯から発生する音程も加わる)もので、その 周波数は高音域に集中しています。そして、高周波は低周波よりも遠くまで伝わらないという性質があります。例えば、遠くの野外ロックコンサートから低い 音、バスドラムやベースは聞こえるけれど、上の楽器はあまり聞こえないといったようなことと同じです。
 さて、以上のことから、とくに 「K」「Ts」「T」「P」といった子音は、かなりはっきりと発音する必要があるのです。「G」「Dz」「D」「B」といった有声子音も同じですが、これ らは前述の無声子音とあわせて「破裂音」系の子音なので、うっかりすると母音までつられて変な風に大きくなってしまうときがあります。母音に影響しないク リアな破裂音の発音というのは特に重要になるので、皆さんよく練習すると良いでしょう。 


 「N」「M」「V」「F」「S」「Z」といった持続可能な有声子音も、歌のラインにエネルギーをこめることができる子音になります。上手く使って生き生きとした表現を目指すと良いでしょう。
 また、英語の歌を歌った団体がいくつかありましたが、「Th」の発音は特にしっかり練習すると良いでしょう。


発音 (母音)
 「母音の質の統一」というのは、日本の合唱団が特に力をいれて練習しなければいけない点です。特に「u」の母音の発音と、「i」の母音の発音がほぼ全ての団で良くありません。一朝一夕では改善しない問題ですが、常に頭において練習しましょう。


 Rの発音やLの発音を行った際、その前後の母音がRやLの舌の形に引っ張られて、変な母音になっている人や団があります。これは直しましょう。


 英語を歌った団体は、特に「閉じたイ(発音記号では大文字のIが小さくなったもの。短母音のイ)」と「あいまい母音(ショワー)」の発音を身に着けましょう。


 ド イツ語を歌った団体は、特にウムラウトといわゆる「閉じたエ([e] 日本人にはイとエの中間に聞こえる)」の発音を身に着けましょう。また、この「閉じ たエ」ですが、女声で「普通のエ(開いたエ)」を歌おうとして「閉じたエ」になっている人がいます。全体から浮いて聞こえてしまうので直しましょう。


 子音の発音に気をとられて、母音が不必要に短くならないように注意しましょう。特に、ドイツ語、英語は注意です。


選曲 
 なるべく「ホモリズミック(みんなが同じ言葉を一緒のタイミングで歌う)」な曲が続かないようにしましょう。言語やテンポが違う曲でも、ホモリズミックな曲が続くと、あまり変化がないように聞こえます(もったいない)。


 ピアノは平均律の打楽器で、合唱とは本来あまり相性の良い楽器ではないが、上手く使えば声にはない色をそえることできる、ということを考慮に入れて選曲しましょう。


リーダー
 指 導者の力というのは、はっきりと歌の表現力に現れます。指導者と指揮者が一緒である必要はありませんが、良い耳と音楽的な方向性を示すことができる指導者 がいないと一定以上の表現は難しくなってきます。個々の能力や総合力が高い合唱団ほど、「船頭多くして船山に登る」の状態や、「全員の意見をとりいれた ら、なんとも平凡な表現になった」「とりあえず楽譜に準じて歌ったら、なんとなくノッペリとした演奏になった」といった残念なことにならないように注意し ましょう。


 


さて話は変わって、大会前日に都留文合唱団のリハーサルでAgnus Deiの指導をする時間をもてたのですが、その際にビデオを撮ったので、アップします。
mp3を聞く


2010年11月12日金曜日

MindManager (マインドマネージャー)

   私が普段使っているソフトウェアに「MindManager(マインドマネージャー)」というものがあります。これは、Mindjet Corporationと いう会社が開発しているソフトウェアで、グラフィックと柔軟性に特化した「アウトライン」を製作するもので、論文や本などのアイデアを視覚的に、柔軟に、 そして分かり易くまとめるのに役に立ちます。見た目や使用感はマイクロソフト社のオフィスなど標準的なビジネスソフトと同じです。ビジネス関連の長文、論 文、小説など長い文章を書いたことのある方なら、とりあえずアイデアを出し合うブレインストームとアウトラインを柔軟に練ることの大切さを分かっていると 思いますが、MindManagerはこの作業に特化したソフトウェアなのです。


   現在では、文書作成(Wordなど)、表計算(Excelなど)、プレゼンテーション(PowerPoint)に関連するソフトウェアというのはビジネス 上、一般的なソフトウェアとして認識されていますが、これにもう一つ追加するとしたら、MindManagerのようなアウトライン作成ソフトではない か、と思います。紙やWordなどでもアウトラインやアイデアのメモは作ることができますが、特に長文を作る機会の多い方や視覚的にアイデアをまとめたい 方は、MindManagerを試してみてはどうでしょうか?生産性がかなり向上すると思います。



2010年11月5日金曜日

グーニーズ (映画)

映画「グーニーズ」は私の子供の頃からのお気に入りの映画の一つで、今でも時折DVDを取り出して観ています。作品をご存知のない方のためにストーリーを要約すると、この映画は80年代前半にアメリカで製作された作品で、アメリカ北西部の自然が残る田舎町を舞台に、十代の子供たちが家族の家の立ち退きを阻止するために海賊の宝探しをする、というものです。映画の詳細はこれ以上は触れませんが、私がこの映画の好きな理由の一つが音楽です。デイブ・グルーシンが作曲したサウンドトラックは、チャーミングかつ印象的で、個人的には映画音楽の中でもトップクラスの質だと思っています(主題歌はシンディー・ローパーでとても80年代的に元気です・笑)。

さて、この映画のサウンドトラック(歌ではない、アンダースコアの方)ですが、入手が不可能に近いという状態が続いていました。今年になって、Varese Saradandeというレーベルが映画25周年を記念して、アンダースコアのCD(初・完全版)を5000枚ほどリリースしたのですが、それを最近ようやく入手できました(既に中古でプレミア価格がつきはじめている)。長年ずっと欲しかった物なので、入手できてとても嬉しかったのと同時に、映画作品(他の芸術作品でもよいですが)が時代を超えて受け入れられるには何が重要なのかという事について、再考する良い機会にもなりました。

映画「グーニーズ」で言えば、この作品の一番の魅力は、子供時代には誰もがあこがれる、そして大人なっても心の片隅にずっと持ち続けるだろう冒険心や好奇心を、超能力やハイテク技術などの手を借りず、等身大に描いたことにあると思っています。もちろん、映画自体は、今日のCGや高い音質などと比べると落ちるのですが、そんなことは、作品の本質というものには関係ない、ということを改めて確認させてくれます。

私にとって映画「グーニーズ」は、時代、社会、文化に関係なく、人間にとって恋、愛、友情、知恵、努力、成長、美といったものは普遍的に尊ばれる、ということを確認させてくれる作品の一つです。みなさんも、機会があれば一度ください。


PS.
さて、脚本エディターとして別の視点からこの映画を語るとすれば、「人物を個性的に(魅力的に)描ききる」という物語を形作る上で最も大切なことを行うことの重要性の確認、ということになるでしょう。小説にしても映画にしても、初心者は「世界観」を描いたりや「ストーリー」を追う事に手一杯で、人物を描くのを忘れる傾向があります。結局のところ、私たちは「人」に共感するものだ、ということは常に頭に入れていないといけないでしょう。